傘の理想的な循環を目指して

傘は使い捨てるもの?

日本で年間に消費される傘の数は、1億2000万本以上と言われています。
つまり、毎年一人一本以上傘を買い続けているということ。
その9割は中国を中心とした海外で製造され、日本製と記された傘はわずか1割。
ビニール傘の登場でさらに安価になってしまった傘を、雨が降る度に購入している人も多いと思います。
環境問題への意識が高まっている現代であっても、未だに傘は「使い捨て」の象徴と言えるのではないでしょうか?

忘れ物ナンバー1の傘

傘の忘れ物は第一位で、東京都内だけで年間に40万本を超える拾得傘があり、「一雨500本」とも言われます。
右の写真は東京都の忘れ傘が集まる、「警視庁遺失物センター」。
ここに集まった傘は3ヶ月間保管され、引き取り手のなかった傘は拾得者(鉄道会社など)に返されることになります。
CASA PROJECTでは遺失物センターから直接傘を受け取ることはありませんが、
保管期間が切れた忘れ傘を企業や施設から譲り受けて制作を行なうこともあります。

不用傘を集める

CASA PROJECTでは、施設等での廃棄予定の傘を譲り受ける他は、右写真のような形でお客様から制作の同意を得て不用傘を回収して集めています。

傘は傘として、できるだけ長く使ってあげることが一番。
なので無理矢理欲しい色や柄を集めるのではなく、自然に集まった傘を最大限に活かして、
そのときにつくれる分だけ、つくっています。

傘を分解する

不思議なことに、傘の構造は昔からほとんど変わっていません。
傘はたくさんのパーツによって組み立てられていて、 その数は40〜50種類もあります。
使っていた傘が壊れてしまい、修理も難しいと思ったら、下記の方法で傘の分解にチャレンジしてみてください。
分解をしてみることで、傘の構造がよくわかり、また傘をつくる職人さんの手間も想像することができると思います。

新たな材料となった傘

分解を終えて同じ大きさにカットされた傘の生地は、並べてみると廃棄されようとしていたとは思えない美しさがあります。
生地だけではなく、ネームバンドや露先、傘の骨も新たな材料として生まれ変わります。

傘の生地は軽くて丈夫、そしてもちろん防水なので、とても面白い素材です。

一つひとつ手作業で縫製

傘の生地の配色が決まったら、一枚ずつミシンで縫い合わせていきます。
傘の生地はほつれなくて丈夫ですが、薄地で滑りにくいという特徴があります。
色や柄によって一つずつ異なる作品に仕上がるので、とても楽しい作業です。